前号に引き続き「遮熱」の話ですが、遮熱塗料の広告で次のコピーを見た事はありませんか?
NASAで開発!驚異の遮熱塗料!
熱反射率:99.61% 熱伝導率:0.0159Kcal/mh℃だから
0.5mm厚で100mmの押出法ポリスチレンフォーム(XPS)と
熱反射に関しては、同じ断熱効果!
これを普通に読めば
NASAで開発。すっげえなあ~
0.5mm厚で、XPS100mmに相当。すっげえなあ~。
と吃驚してしまいます。
しかし、その前段に「熱反射に関して」という注釈が書かれているのに全く注目していません。熱反射の極めて弱い夜間などは、ただの塗料なのですが、そんなことはNASAという文字と、XPS100mm相当で消えています。
しかも、熱反射は、空気層があって初めて効果が現れます。
実は遮熱材と断熱材では、比較する物差しが全く異なっています。遮熱材は、その熱をどれだけカット出来るか(反射)という性能に対して評価し、断熱材は、その熱の通過をどれだけ妨げられるかという性能に対して評価しています。後者は、熱貫流率という物差しがありますが、前者にはなく、前者と後者をつなぐ共通の物差しはありません。
そのために、熱反射が出来ない状態では、熱放射が極めて小さく効果が期待出来ない場合や、片面が何らかの材料と密着しているほど反射自体が出来ない場合は、この遮熱材は宣伝文句の機能は発揮し得ないのです。