温水循環型暖房器の特許出願の際に、「熱って何だろう?」「システム内の圧力って何だろう?」との疑問が浮かんできました。両方とも、これだぁ!と目に見えるものではありません。
まず、「熱」ですが、19世紀の初めまでは、「熱とは何か?それは熱素の流れである。」と考えられていました。従って、100℃の水100gと0℃の水100gを混ぜ合わせると50℃の水が200gになり、熱素という粒子が移動すると考え、熱素が流れ込むと物体の温度が上がり、流れ出すと物体の温度が下がると説明したのです。直感的にはわかりやすく、一見正しそうに見えます。
しかし、これに疑問をもった人が、円筒を水中に入れ、切り屑が出ないように刃のつぶれたドリルを円筒の中にあてて回転させたら、水の温度は上昇し続け、2時間半ほどで沸騰してしまいました。もし熱素によって温度が上がったとすると熱素を供給する元があるはずであり、その元がなくなると、温度上昇は止まるはずでした。
この実験は、熱は(摩擦)運動によって無尽蔵につくられることを見事に示しました。
この実験から「熱素は存在せず、熱の本性は運動」であることが認められるようになりました。
温度は分子の熱運動の激しさを表しています。熱運動が激しいほど温度が高くなります。高温と低温の物体を接触させると、接触面で分子どうしが衝突し、熱運動の激しさにならされていき温度が等しくなります。