「自分の子供はかわいい」これを称して「親バカ」という。
商品にも同じところがある。商品を売る人は、作る立場であり売る立場である。
商品はけっして買う人が作るものではない。
だから商品は、親バカが作った子と同じ性格を持つ。
それは、作った立場、売る立場というものを、捨てる訓練ができていないからである。
作った立場を捨てるということは意外に難しい。自分の作った商品を批判されるのは楽しくない。
「この良さがわからないのか」と文句を言いたくなる。
それが「親バカ」の証拠である。
しかし、商品となると親バカではすまされない。
お金をとって、もらっていただくのだから。養子に出す様なものである。
養子に行った子の出来が悪ければ、不満を持たれる。
だから、どんな家へもらわれて行ってもいいように、他人様の意見を十分に聞き、自分の子供をしっかり育てておかないと世間様に迷惑をかける。
「人の事は良くわかる」他人の事は冷静に見る事ができる。それに対して、自分の事になると話が一変する。
「自分の事は自分が一番よく知っている」、「人には私の気持ちはわからない」とかいう。
商売の中でこんな態度をとると、世間は許さない。世間は表だって批判はしないが、「買わない」という無言の抵抗によって批判するものである。
これも開発の心得の一つである。