前号に続き湿度の話です。冷房の効き目は構工法によって異なりますが、住宅の断熱性能よりも窓からの日射遮蔽と気密・防湿に左右されます。冬暖かい建物は断熱性が高くて熱を逃がさない家で、夏涼しい建物は窓からの日射しと外から水蒸気(湿気)が入らない家です。
水1gを水蒸気に変えるには539カロリーの熱量が必要で、水蒸気を15℃の水に変えるには624カロリーの熱量を放出します。エアコンは電気を使って、空気中の水蒸気を水に変える仕事をしており、夏になると水がポタポタ排出されるドレン水は、電気代の固まりといえます。高温多湿の日本で冷房をする場合、この水蒸気の潜熱が大きな負荷になります。外気温30℃を25℃にするには、潜熱がなければそれほど多くのエネルギーを要しません。湿度が60%であれば室温26℃でも多くの人は快適と感じ、湿度が50%になると28℃でも快適に感じられます。暑さ寒さも湿度が大事です。