除湿と加湿、前者は空気中の水蒸気(湿気)を取り除き、後者は湿気を増やすことですが、湿度の話をするのは難解です。でも快適な居住環境を作り出すための条件であり、やっと湿度が着目されてきました。人は体温を調整するために汗をかき、熱を放出します。その放熱量は、人体と周囲の空間との温度差が大きいほど大きくなります。ところが梅雨などのジメジメしたむし暑い時期には、周囲の温度と体温の差が小さく、水分が逃げにくくなり、そのため汗の蒸発が十分に働かず涼しさが感じにくい不快な環境となります。ある程度気温が高くても湿度が低ければ、体の表面から汗が気化熱を奪いながら蒸発するので、涼しさを感じます。
つまり、除湿によって汗が蒸発しやすくなり体温を奪うので、少し高めの室温でも涼しく感じられ、反対に、加湿が汗の蒸発を抑え、体温をこもらせることで、少し低めの室温でも暖かく感じられます。人間にとって快適な環境づくりには湿度が重要な要因となり、それが結果的に省エネ性にも繋がってきます。
従来のエアコンの冷房モードは、室内機の吸い込み空気温度(室温)から12~14℃下げることによって、温度と湿度とを一括に処理しています。制御するには大きなエネルギーを必要とする湿度に対応する前に温度のほうが早く下がり、湿度がさほど取り除かれないままに冷房運転が停止してしまいます。室内環境が高湿度なままなので、人体からの放熱は抑えられ不快に感じることになります。