住宅とエネルギー 【命懸けの省エネから命を救う省エネへ】
【要約・キーワード】
・ZEH/ZEBが普及しつつあるが、断熱そこそこで「太陽光や蓄電池で実質0」という考え方があるが、設備(エアコン)は平均13年で更新する為、延々とコストが乗っかってくる悪循環になっている。
・高断熱化し設備の小型化が必要である。
・業界段階・ロビー活動が政策を主導し、正しい事が決められていない。
・モデルハウスの平均エアコン台数は「7.2台(最高19台)」だが高断熱化で平均「2台」を実現できる。
・日本は製造業に重点を置きすぎたが故に「忘れられた領域」がいっぱいある。
・日本は欧米と比べて暖房エネルギーが少ないと言われるが、理由は「家の面積は小さい事」と「寒さを我慢している=(命を削って省エネしている)」。事が要因。
・最終的に日本では「医療費」という部分で多額の予算を使っている。
・ある医者の逸話:冬場の脳疾患等で緊急搬送される患者の多くが「古い住宅街」であった。
・社会医療費の抑制に「高断熱住宅」の普及が重要。
・ウクライナ戦争でヨーロッパでエネルギー価格が上がり暖房設定温度を下げた事で「10万人」が亡くなると言われている。戦死者と暖房を削った影響が同規模になっている。
住宅とエネルギー 「日本になぜ省エネ住宅が少ないのか」
【要約・キーワード】
・スウェーデンは北海道より緯度は高いが学校・オフィス・住宅は暖かく、冬でもTシャツで過ごしている。
・アメリカもヨーロッパも「暖かい家に住むということは文化的に共通」。
・欧米では「暖房(房=部屋)」=部屋を暖かくする。日本は「採暖」である。
・日本の伝統的家屋と思っているものは150年いかないくらいの流行に過ぎない。
・江戸時代において布団は現在価値で「200万円」
・部屋全体を暖かくするのは贅沢極まりない。という概念が断熱化を阻害している。
・健康と室温の関係。WHOや欧米では平均して18℃を下回ると深刻な健康リスクが現れる。と提唱している。日本でも2万人調査を実施しいてる。結果は同じ。
・疾患「ぜんそく・肩こり・腰痛・目のかゆみ等」に影響がある。
・アメリカ、ヨーロッパでは樹脂サッシ(又は木)がスタンダード。
・「どうせ窓なんか」⇒「窓が一番大事」に変化してきた。YKKAPの2010年頃の樹脂窓比率は2~3%だったが現在、30%で上昇。
・CO2問題に対する真剣度(意識)が欧米と日本では全然異なる。
・ドイツは国を挙げて2040年迄に全ての建物の高断熱改修を終わらせる方針。
・コロナで世界中の飛行機や自動車・物流が止まりCO2が6~7%(前年比)減った。このレベルのCO2削減を永年しなければ世界的な目標はクリア出来ない。
松尾設計室 代表取締役 松尾和也
1975年 兵庫県出身
1998年 九州大学工学部建築学科卒業(熱環境工学専攻)
2006年 株式会社 松尾設計室 代表取締役
設計活動の他、住宅専門紙への連載や「断熱」「省エネ」に関する講演も行なっており、受講した設計事務所、工務店等は延べ6000社を超える。2009年パッシブハウスジャパンを立ち上げ、理事としてドイツの最先端省エネ建築の考え方を日本の気候条件に合わせる形で普及促進活動を行なっている。
「健康で快適な省エネ建築を経済的に実現する」ことをモットーにしている。
https://www.youtube.com/@user-bd8ss1ir8l/featured
大場紀章(おおば・のりあき)
1979年愛知県江南市生まれ。エネルギーアナリスト/ポスト石油戦略研究所代表。
京都大学理学研究科修士課程修了。
同博士課程退学。
民間シンクタンク勤務を経て現職。
https://www.youtube.com/@postoiljp
この記事を書いた人建築パートナー部 小崎
北は北海道から西は九州まで各種イベントや案件企画と販売促進に関するサポ―トを行っています。 |